エロゲ雑記帳

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各10段階評価
シナリオ…9
キャラクター…8
絵…7
エロ…7
音楽…9
システム・演出…7
総評…9

【感想】
まず、シナリオについて。ここは文句のつけようが無いですね。全6章構成で各々別のテーマを書いているのに全てが繋がっていて、物語としても成り立っているのがサクラノ詩の構成力の凄さというべきか。序盤から仕込まれた数々の伏線を綺麗に回収しているのは勿論の事、これだけ重厚で有りながらきちんと風呂敷を畳んでエンドまで持って行ったのは大いに評価したい。同じくすかぢがメインで書いた素晴らしき日々と比較すると正に対照的ですね。明がサクラノ詩とするならば、暗が素晴らしき日々と言った所か。鬱や電波要素が主体だった素晴らしき日々に対してサクラノ詩はそれらの要素をなるべく抑えて前向きにしたような感覚でした。サクラノ詩は全体的にマイルドにしてより万人向けにした作品という印象。テキストも読みやすい為、これだけの長編で有りながらも飽きること無く最後まで進められましたね。お陰で終わった時は達成感も半端無かった。個人的にサクラノ詩というのは見方を変えると主人公である草薙直哉が芸術の本質を知る為の壮大な物語だと思っています。櫻達の足跡を作った当時、主導者だった明石の理念に反撥していた直哉が6章で明石と同じ境地に至る所は正にサクラノ詩の本質そのもの。直哉が明石の台詞を引用して、“我々が何のために作品を作るのか……それさえ見失わなければ問題ない……。そこに刻まれる名が、自分では無いとしてもだ……”と言うシーンは個人的に作中一番の名台詞でした。様々な局面を乗り越えて直哉も成長したのがこの台詞だけでよく分かる。10年以上もの延期の末、ようやく発売に漕ぎ着けたという事もあって最初は期待値そんなに高くなかったんですが、終わってみれば期待以上の出来。今の時代ではこれ程の長編はあまり出ないので発売してくれただけでも拍手喝采したいくらい。後は続編が出るかどうか。正直、6章は話に一区切り付けてさあこれからだって所でエンドなので一応は完結したものの、続編への期待感が高まるばかり。というか、6章は設定的に続編への布石にしか思えない。これで続編無かったら泣く。
キャラについて。個人的に一番印象深かったのは香奈かな。公式には一切情報が出ていなかった、所謂隠しキャラですがある意味では一番人間味のあったキャラですね。最初は直哉に付きまとってきてウザいキャラの認識だったけど、話が進んで香奈というキャラの全容が明らかになってくると評価が一変しました。何だかんだで直哉を一番評価しているのは香奈なんだろうなというのが作中からも読み取れましたね。それだけに攻略不可なのが惜しいですが。後はメインヒロインで言えば藍が一番良かったかな。大人ぶってるお姉さん的なキャラが好きなのも有りますが、何より5章での包容力の高さにやられましたね。あれは思わず甘えたくなる。そして、エンドに入る前の最後のシーンもまるでメインヒロインの如き扱いという。
絵について。ちょっとね、立ち絵とCGで別人にしか見えないのはどうかと思うのよ。素人目で見てもあまりにも違い過ぎで困惑する。せめて立ち絵とCGのクオリティの差くらい調整しろと。ここに関しては間違いなく素晴らしき日々の方が良かったと断言できる。
エロシーンについて。稟とのシーンはそこそこエロかったよう感じ。後はそんなに…って所か。雫のシーンとか4回も有るけど終盤に集中し過ぎなんだよね。もうちょっと分散出来なかったものか。
音楽について。BGMは本当に素晴らしい出来。計42曲という異例の多さですが、どの曲もクオリティが高く、この作品の世界観に上手く引き込まれました。個人的には、見上げた青の果て、花弁となり桜は大いに歌う、花弁となり世界は大いに歌う、美しい音色で世界が鳴ったが特にお気に入りですね。正直、BGM良すぎたので今すぐにでもサントラ欲しいくらい。最短で冬まで待たなきゃいけないのが辛い。また、ボーカル曲も全曲良かった。特に櫻ノ詩はフルで聴くと感慨深い。
システム・演出について。ここもこの作品の泣き所だなあ。フォント変更やバックログジャンプ出来ないのが辛かった。特にこの作品はかなり長いのでバックログジャンプは実装して欲しかったですね。後は選択肢までシーンスキップの機能も出来れば欲しかった。個別ルート入るまで長いからスキップの時間も長くなってる。
総合的に見ると、大満足って所かな。素晴らしき日々と比べるとやや丸くなっている感じなのでそれぞれ一長一短ですが、どちらも名作として評価できる作品です。