エロゲ雑記帳

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各10段階評価
シナリオ…9
キャラクター…9
絵…8
エロ…7
音楽…8
システム・演出…8
総評…9

【感想】
まず、シナリオについて。シナリオはかなり満足しました。吸血鬼を舞台にした作品は数有れど、大半はその吸血鬼の表面的な部分しかなぞっておらず、単なる舞台装置であり、その内面的な部分にまで触れた作品というのは少なかった。本作品はその吸血鬼の内面的な部分や背景をしっかりと書いており、好感が持てた。“吸血鬼とは何たるか”というのがこの作品の最大のテーマであるが、これこそ正に吸血鬼を描いた作品であると言える。勿論、この作品には戦闘描写があり、割と燃える箇所も多かった。グランドルートの最後にあったトシローと伯爵の決戦は一番印象的で正に燃えたという表現がしっくりと来るくらいだったし、ニナルートのトライフィンガー同士の決戦も中々印象に残った。戦闘描写はあまり無駄がない割に程良く緊迫感があり、より話を面白くさせた部分でもあるといえる。ルートに関しては、自分はシェリル→アンヌ→ニナ→アリヤ→グランドとやっていきましたがこの順番が一番分かりやすくて繋がりが良かったかなと思う。特にアリヤルートは世界観の一部が明かされてグランドに繋がる感じだったし。各ルート毎に情勢がかなり違ってくるので、飽きずに楽しめたという所もありますね。ルートを追う毎にどんどん状況が酷くなっていて、特にアリヤルートでは鎖輪全体が崩壊しているからこの先どうなるのかと目が離せませんでしたし。後、この作品やってるとどうしてもMinDeaD BlooDをやってた時の事を思い出します。あれも吸血鬼モノにしては内面や背景もしっかりと書かれてたし、何よりこの作品と似ている部分も多かった。
キャラに関しては、結構印象に残るキャラが多かったかな。まず、主人公であるトシローについてですが、過去に縛られたままのキャラ、それも主人公であるというのは結構珍しいように思います。こういう過去持ち（特に失恋や死別関係とか）のキャラって敬遠される傾向にあると思うんですが、この作品では普通に主人公に据えてますね。これ書くの結構大変だったんじゃんかと思うんだが。まあ、トシロー自体はちゃんと主人公してて印象に残りましたが。次にヒロイン勢ですが、こっちはあまり印象に残ってないな。良くも悪くもサブキャラ勢の印象が強すぎた所為で相対的に影が薄くなっている感が。まあ、その中でもアリヤは割と印象に残ったかな。当該ルートで覚醒してヤンデレ状態になった時は結構昂奮したし。ルートの最後でトシローと共闘して伯爵に立ち向かう場面も良かった。最後にサブキャラ勢ですが、アイザックを筆頭に印象の強いキャラが多かった。特に男キャラは死に際が見事なまでに綺麗なキャラが多く、ある意味ヒロイン達よりも輝いていた。個人的に特に良かったのがアイザック。
アイザックはある意味裏主人公と言っても良い存在ですね。トシローの負の部分を一手に担い、彼だけを追い求める姿は中々のものだった。まあ、端から見てるとトシローのケツを追いかけまわすホモ野郎にしか見えないが。それでも、ニナルートでの二人の決戦はグランドルートのラストバトルと並んで劇中屈指の名場面だった。
絵に関しては、男キャラは正に世界観に合っていて最高なんだが、女キャラが微妙に合ってないかなと思う。まあ、泉まひる絵は結構良かったんでこれはこれで有りかなと思うことにします。
エロシーンはトシローとの和姦シーンが二回ずつで、後はアンヌのオナニーやケイトリンの乱交、ニナやアリヤのレイプまがいのシーンが一つずつといった所か。尺自体はそんなに悪くはない。やや薄い感じはするが、ニナのエロシーンが割と良かったんでそんなに気にしてはいない。
音楽面は結構良かった。戦闘面で使われる曲が割と印象的で燃える曲が多く、より緊迫感を感じさせる一因にもなりました。全体的にBGMも結構完成度が高いですね。雰囲気に見事なまでにマッチしてるし。ボーカル曲もOP・ED共に気に入りました。
システム・演出ですが、それなりに演出は良かったと思います。台詞の吹き出しは割と好印象。戦闘面でも必要な演出はちゃんとされているように感じた。
ここまで燃えた作品というのも久しぶりですね。戦闘面だけじゃなく、吸血鬼モノとして見ても間違いなく傑作であると言える。それだけに埋もれたままになっているのが非常に惜しく感じる。