ひこうき雲の向こう側のレビュー。
各10段階評価
シナリオ…9
キャラクター…8
絵…7
エロ…7
音楽…9
システム・演出…6
総評…8
【感想】
まず、シナリオについて。思わず感心してしまうくらいにのめり込みました。もうね、本当に手放しで褒められるくらいによく出来たシナリオだなと思いました。主要なルートは大体美奈、いろは、瑛莉の3ルートに集約されている感じですね。綾や里沙にも一応ルートは有りますが、おまけと言っていいくらいに短かったです。美奈ルートで十年越しの恋愛を描き、いろはルートでキスから始まる恋愛を描き、そして最後の瑛莉ルートで瑛莉が恋を知っていくという恋愛に重点を置いたシナリオでしたがその分読み応えは有りました。特に最後の瑛莉ルートは印象に残りましたね。主人公と距離が近づいていく中で次第に瑛莉に恋愛感情が生まれていく所とか、部活を通して恋愛以外でも瑛莉が心の底から楽しめるようになった所とか良かったと思います。瑛莉ルートはED後にエピローグが有りますが、これは反則だろうと思うくらいに感動しました。何せその後の人生の一部始終がほぼそのまま書かれていて本当に充実した人生だったんだなと実感しました。特に五十年越しの大好きという言葉とその後の死別のシーンはあまりの感動に本当に泣きそうになりました。こういうの見てると自分もこんな充実した人生送りたかったなと思ってしまいます。個人的にはエピローグで死別まではっきりと書ききった所は評価したいと思います。他の作品見ててもエピローグは有っても数年後とかそんなのばかりでその後の人生の一部始終そのものを書ききったのは本当に珍しいのではないかと。
キャラについて。やはり話のメインだけあって瑛莉が一番良かったですね。瑛莉ルートで大好きの三文字が中々言えなくてしどろもどろになったりする所は可愛かったし、他のヒロインに嫉妬して不機嫌になっている所も良かった。瑛莉ルートやって、やっぱり瑛莉は楽しそうにしているのが一番似合うなと思いました。他に良かったのは里沙ですね。正直、サブキャラ扱いなのが不憫な程良く出来たキャラだったと思います。自分も失恋しているのに各ルートで主人公に対して恋愛関係の助言をしている所は何で里沙がメインヒロインじゃないんだと思ったりもしました。一応、最後にエクストラで救済は有りましたが、おまけレベルのシナリオなのであまり報われた気がしない。
絵について。立ち絵は可愛いし、塗りも好みなんですがどうもCGが崩れているのが気になります。本当に立ち絵は素晴らしいのにどうしてCGで崩れてしまうのかと。CGで良かったのはエピローグのモノクロのCGの所くらいかな。あのCGは風情もあって凄く良かった。
エロシーンについて。サブ以外は4回ずつあるので回数的には必要十分。尺もそこそこ有るのでまずまずといった所ですね。
音楽について。BGMは非常に好みですね。個人的に気に入った曲は春は、あけぼの、オトナの恋愛偏差値、万物流転とどまることなし、彩雲のギャラリー、月が綺麗ですね、泣いた分だけ強くなる、止まない雨はないから、arc-en-ciel辺りですね。割と落ち着いた感じの曲調が多かったせいか気に入った曲も多いです。また、ボーカル曲もOP、ED共に好みの曲でした。ここまで来るとサントラ出してほしくなってきますね。というか、サントラで聴きたい。
システム・演出について。まず、一言。バグをどうにかしろ。一応、修正パッチは当てたんですがそれでもバグが全然尽きてないのに驚き。今時ここまでバグのある作品って中々無いぞ。具体例を挙げると例えば台詞の途中でいきなり意味不明な数字が出てきたりして困惑しました。恐らくスクリプトの呼び出し番号か何かを消し忘れてこのようになったんでしょうがいきなり出てこられると萎える。後は音声を取り違えたのか台詞と音声が合ってない箇所が有ったり、場面の切り替えの時に一瞬出てこない筈の場面が映ったりと不具合を挙げていけば枚挙に暇がない。瑛莉ルートだけは何故かこのようなバグは少なかったので恐らく納期が迫っていたので瑛莉ルートだけ大急ぎでデバッグやって後は全然チェック出来ていなかったということなんでしょうが、流石にこのバグの多さは庇い様がない。
総合的に見ると十二分に満足出来た作品です。個人的には瑛莉ルートがやれただけでも満足。この作品を通して恋というものが何なのかを学べただけでもやって価値は有りましたね。後はバグさえ無ければ尚良かったんですが。